睡眠とCHI
- 睡眠トラッキング
- 入眠支援
- 睡眠習慣改善
- 睡眠環境改善
- 目覚まし時計
- ソーシャル睡眠
- ユーザーの睡眠状況により何かを駆動
- 睡眠のための日中の行動センシング
- 夜明けシミュレーター関連
- 寝たふり支援
- 寝不足のふり支援
- 眠気を吹き飛ばす系
- 睡眠エモコンピューティング
- 昼寝支援
睡眠トラッキング
ベッドの下に挟み込むだけで動くシステム
Opportunities for computing to support healthy sleep behavior
(提案されているだけで実際に実装されているわけではない)
眼球の動きをウェアラブルにより測定
https://ir.nctu.edu.tw/bitstream/11536/125156/1/000354701700005.pdf
スマホアプリ
いろいろあるが、基本的に今市場に流れているものは医学的裏付けに乏しい
SleepMeister
EZwakeup:光・音・振動のシグナルをいいタイミングで出し、rem/deep sleepからlight sleepへと誘導
スマホによる睡眠時無呼吸の検知
http://www3.nd.edu/~dwang5/courses/spring16/papers/medical/p7.pdf
ネックカフ
A Non-invasive Wearable Neck-Cuff System for Real-Time Sleep Monitoring (PDF) - Semantic Scholar
音波を発する特殊デバイスによるセンシング
http://pac.cs.cornell.edu/pubs/dopple_sleep.pdf
入眠支援
アイマスクで顔を温めることによる入眠支援
入眠しやすい映像を勝手に流すTV
眠くなるほど押せるボタンが減るリモコン
睡眠習慣改善
睡眠ゲーミフィケーション
Opportunities for computing to support healthy sleep behavior
睡眠をとらないと主人公の体力が回復しないゲームを提案
スマホの画面端に睡眠アドバイス表示
ADHDの子供の睡眠習慣改善アプリ
推奨睡眠時間を教えるアプリ
睡眠環境改善
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.591.5733&rep=rep1&type=pdf
http://mns.ucdenver.edu/paper/ISSAT_LanAnh_2015.pdf: 何が原因で眠れなかったのかを推測するシステム
パートナーが寝落ちると暗くなるTV
目覚まし時計
ソーシャル目覚まし(他人の起床状況がわかる)
Network alarm clock (The 3AD International Design Competition) | SpringerLink
子供と親の目覚まし同期
イベントドリブン目覚まし(停車駅に近づくと鳴る)
目覚ましをかける時の感情をセンシング
http://www2.uiah.fi/~ikoskine/ip08/papers/02b-wensveen.pdf
周りの人を起こさず自分だけ起こす目覚まし
知らない人から起こされるアプリ
朝起きた時の意思決定(何を着るか/いつ家を出るか)支援
Supporting routine decision-making with a next-generation alarm clock | SpringerLink
ソーシャル睡眠
老人ホームで入居者の睡眠状況をドアに表示
離れて暮らす家族の睡眠状況を共有
社会規模での睡眠状況共有(電車の混み具合などが間接的にわかる)
ユーザーの睡眠状況により何かを駆動
睡眠の深さに合わせて照明の明るさを変更
睡眠のための日中の行動センシング
概日リズム把握による時差ぼけ防止アプリ
Entrain.org: Reducing Jetlag through Mobile Tracking
昼間浴びた光の量推定
昼間の行動から睡眠の質予測アプリ
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.648.428&rep=rep1&type=pdf
夜明けシミュレーター関連
認知症患者に夜明けシミュレーター使うと睡眠の質改善
学生に夜明けシミュレーター使うと睡眠の質とか改善
夜明けシミュレーターは概日リズムに影響を与えない
寝たふり支援
寝不足のふり支援
眠気を吹き飛ばす系
睡眠エモコンピューティング
遠距離恋愛カップルの抱き枕が相手の睡眠状況に応じてあったかくなるシステム
Enhancing the sleeping quality of partners living apart
遠距離恋愛カップルの相手の枕に自分の声を吹き込めるシステム
http://opus.bath.ac.uk/33757/1/Gooch_sleepyWhispersPoster.pdf
相手の睡眠状況に応じてカーテンが動いたりする
https://www.tdr.wiwi.uni-due.de/fileadmin/fileupload/I-PERVASIVE/teaching/uie_ws0708/TheBed.pdf
相手の睡眠状況に応じて流れる音楽が変わる
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.498.2673&rep=rep1&type=pdf
昼寝支援
ポータブル枕
入眠を促す方法
入眠を促す方法
照明系
部屋を暗くする(アンビエント照明とかを使う)
スマホなどデバイスをなるべく見ない
温度系
部屋の温度は18C、湿度65%くらい
2,3時間前に入浴
寝る前の足湯
Cutaneous warming promotes sleep onset | Regulatory, Integrative and Comparative Physiology
音系
ホワイトノイズとか波の音とかで騒音をうちけす
理由:ノイズは処理すべき情報がないので脳が疲れない(要約)
眠る時に同じ曲を毎回かけることでパブロフの犬みたいな条件反射を身につける
1/f揺らぎの音を聞く
嗅覚系
ラベンダーの香り
精神系
心を安らげる(不安要素を潰す 泥棒に入られたらどうしよう...とか)
頭を使うと眠くなる
翌日やるべきこととか心配事とかを紙に書き出す
羊を数える
楽しいことを考える
眠っちゃダメだと念じる
(なかなか眠れない時は)ジグソーパズルや絵を描くなどする
呼吸リズム 4・7・8の間隔
おそらくこの呼吸法によって副交感神経が優位になる
その他
何か食べたくなった時は200cal以下の炭水化物が多い食べ物(スナックとか)を食べる
日中運動する
2,3時間前に有酸素運動
睡眠のフェーズ
睡眠のフェーズ
人間における睡眠は大きく分けてREM睡眠とNREM睡眠の二つに分けられ、後者のNREM睡眠はさらに2つないし四つへと分類される。
90-100分周期くらいでREM-NREMが入れ替わる
入眠-NREM S1->S2->S3->S4->S3->S2->REM->NREM S1という感じの順番
寝た直後はNREMの割合が、起きる前はREMの割合が大きい
REM睡眠
眼球が急速に運動を行う睡眠フェーズである。
全睡眠時間の25%
目が動く
脳波はβ波(>12Hz,<30μV)
夢を見る
心拍・呼吸・血圧の上昇
アトニーと呼ばれる筋肉の弛緩が発生する(これが発生しないのがREM睡眠時に夢の中で行っている行動を寝ながらリアルワールドでもやってしまうREM睡眠行動障害)
レム睡眠に入る時/出る時に寝返りをうつ?(ちゃんとした出典がまだ見つけられていない)
寝言をいう
NREM Stage 1
全睡眠時間の5%
θ波(4-8Hz,50-100μV)
いわゆるうたた寝状態
急に足や手がピクッ!ってなったりするのはここ
NREM Stage 2
全睡眠の45%
θ波の他にSpindle、K-complexと呼ばれるような低周波高振幅の脳波が断続的に出現
筋肉活動の低下
意識レベルの低下(外界の変化に気づきにくい)
NREM Stage 3
全睡眠の12%
下のStage4と合わせてSlow-wave Sleep(SWS)と呼ばれる(脳波の周波数が低くなるので)
δ波やθ波が主流(2-4Hz,100-150μV)
NREM Stage 4
全睡眠の13%
δ・θ波(0.5-2Hz,100-200μV)
睡眠フェーズに伴う音情報
寝言:rem
早い呼吸:nrem S1,S2
ゆっくりとした呼吸:nrem S3,S4
いびき:S3,S4
咳:remかS1,S2
睡眠まとめ
人間における睡眠の生理的メカニズム
人間における睡眠サイクルの概要としてよく用いられるのが"two process model of sleep"である。このモデルにおいて睡眠は概日リズムCと体内のホメオスタシスSによって把握され、睡眠の負債がたまり(Sが上昇し)概日リズムが低下する(Cが下降)すると睡眠が発生すると考えられている。
概日リズム
人間の脳において概日リズムを司っているのは視交叉上核(SCN)である。SCN単体では24時間よりも少し短い周期で自律した振動を行うが、網膜内に存在するipRGC(錐体・桿体とは異なる第三の光受容細胞)から入力された光情報がSCNに到達することにより位相のずれが修正され環境の光に同期した概日リズム振動が発生する。この位相のずれは、主観的夜(概日リズムで夜だと判定されている期間)の前半に光が入力された場合は前に、主観的夜の後半に光が入力された場合は後ろに位相がシフトする形で表れる。分かりやすく言えば、「夜の早い時間に光を感知した場合はまだ昼だと判断し概日リズムを遅め、夜の遅い時間に光を感知した場合はもう朝だと判断し概日リズムを早める」ということである。概日リズムのどの段階で光がipRGC経由でSCNに到達するとどのような位相のずれが発生するのかを表したグラフはPhase Response Curve(PRC)と呼ばれる。
人間においては昼の2時ごろにいったん概日リズムが低下する[要出典]。
ipRGC
概日リズムを司るSCNに光情報を入力する役目を負うのが網膜内に存在するipRGC(intrinsically photosensitive retinal ganglion cell)である。この細胞内にはメラノプシンと呼ばれる光受容色素が存在し、特に短波長の青色の光に選択的に反応する。人間のipRGCに存在するメラノプシンであるOPN4-2の最大吸収波長は484nmである[2]。
光とメラトニンの関連について
赤い光を見なくても浴びるだけで睡眠の質が上がる?
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3499892/
中国の女性バスケ選手に2週間の間夜にアイマスクをして赤い光(658nm,30J/cm^2)を浴びさせたら睡眠の質とメラトニン量が上がった マラソンの距離もちょっと上がったけど有意なレベルではない(p=.07)
メカニズムがよくわからない(論文には一言も書かれていない)
赤い光と青い光を浴びせたら青い光の時だけメラトニン分泌が落ちた
The Effects of Red and Blue Lights on Circadian Variations in Cortisol, Alpha Amylase, and Melatonin
いろいろな光の元で被験者のメラトニン量を測ったら特に青(470nm)、青緑(497)、緑(525)でメラトニン分泌量が減った
概日リズムと体温
一般に、人間は深部温度(core body temperature, CBT)が低下することによって眠りやすくなると言われている。深部温度が一番低下するのは深夜3時ごろ。体の末梢部から熱を逃すために深部温度が低下する前に末梢温度(指など)が上昇する。
腕の温度と概日リズム
腕の温度は寝る10分前くらいに上がり始める
腕の温度は環境の温度の影響を受ける(暑いと日中腕の温度が下がりきらず、よって寝る前にも上がらない)
昼食の時間は夜の腕の温度上昇の時間に影響を与えない
昼食後に腕の温度が上昇するタイミングがあるが、これはシエスタをとっている時は大きく上昇する
日中30度を超えるような場合腕の温度はうまく測れない
体の体勢・寝室の環境・運動・食事・労働・余暇活動は腕の温度に影響を与える
概日リズムを計測するために腕の温度+加速度計を用いる可能性
指の温度と概日リズム
指の温度と深部温度、主観的眠さ、客観的眠さを被験者を夜通し起こす中で測定した実験。
SOLが客観的眠さの指標(低いほど眠い)、SSSが主観的眠さの指標(高いほど眠い)
概日リズムと血圧・心拍
血圧変動(heart rate variability , HRV)により眠気測定
赤から青へと一定周期で変化する光を浴びるとHRV及び幸福度が変化?
References
[1] Sleep. Very short introduction.
[2] 海老原ほか. 時間生物学. 化学同人